親の施設への入居や住み替え、相続などをきっかけに、実家に誰も住まなくなることがあります。
「売った方がいいのか」「貸せるのだろうか」「荷物が残っていて何から始めればよいか分からない」。すぐには決められないことも多いものです。
まずは、家の状態と名義、当面の管理方法を確認しましょう。今後の使い方を考えるために、最初に整理しておきたいことをまとめました。
1.まずは、家の状態と鍵の所在を確認する
最初に確認したいのは、安心して管理できる状態かどうかです。可能であれば現地を訪れ、建物の内外を確認しましょう。
- 玄関や窓が施錠できるか、誰が鍵を持っているか
- 雨漏りの跡や水漏れ、窓ガラスの破損がないか
- 屋根や外壁に、落下しそうな部分がないか
- 庭木や雑草が、道路や隣地にはみ出していないか
- 郵便物や配達物がたまっていないか
気になる場所は写真に残しておくと、家族や相談先に状況を伝えやすくなります。
屋根に上がる、傷んだ床を歩くなど、危険を伴う確認は無理に行わず、専門業者へ相談してください。
2.帯広・十勝では、冬を迎える前の設備確認が大切
誰も住んでいない家では、水道管などの凍結や破損に気付きにくくなります。帯広市も、長時間水道を使用しない場合は、水抜きなどで凍結を防ぐよう案内しています。
寒くなる前に、水道・給湯器・暖房設備の状態と、冬の間の管理方法を確認しましょう。
「水道の使用を止める手続き」と「設備の水抜き」は、分けて確認することが大切です。
水道の契約を休止したり、蛇口を閉めたりするだけで、配管や機器の水がすべて抜けるわけではありません。給湯器やトイレなども含め、設備に合った作業が必要です。方法が分からない場合は、水道・設備業者に相談しましょう。
電気も、すぐに解約してよいかを先に確認します。凍結防止などのために電源が必要な設備がある場合は、水抜きや停止の手順とあわせて判断してください。
また、玄関までの通路、屋根からの落雪、隣地や道路に影響する雪についても、誰が確認・対応するかを決めておきましょう。
3.土地と建物が、誰の名義になっているか確認する
実家だからといって、土地と建物がどちらも親の名義になっているとは限りません。祖父母の名義が残っていたり、土地と建物で所有者が異なったり、共有になっていたりする場合があります。
まずは、手元にある資料を探してみましょう。
- 固定資産税の納税通知書・課税明細書
- 登記の書類や登記識別情報通知、権利証
- 購入時の売買契約書や図面
- 相続に関する書類
納税通知書だけで判断せず、現在の登記名義も確認することが大切です。
親が施設に入居した場合など、所有者がご健在であれば、今後の住まいに対するご本人の希望も確認しましょう。ご家族が管理することと、売却などの契約をすることは別です。ご本人による判断や手続きが難しい場合は、進め方を専門家に相談してください。
相続登記には、申請の期限があります。
相続した不動産は、相続によって取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請することが原則として義務となっています。2024年4月1日より前に相続し、その取得を既に知っていた未登記の不動産も対象で、原則として2027年3月31日までの対応が必要です。
手続きが進んでいない場合は、法務局や司法書士へ早めに相談しましょう。
4.今後の使い方が決まるまでの、管理担当を決める
家族で相談していても、「誰かが見に行っていると思っていた」という状態になると、異常の発見が遅れてしまいます。
売却するかどうかが決まっていなくても、当面の管理については先に決めておきましょう。
当面の管理について家族で決めておきたいこと
| 決めておきたいこと |
確認する内容 |
| 管理の窓口 |
家族の誰が連絡を取りまとめるか |
| 現地の確認 |
誰が、どの程度の間隔で見に行けるか |
| 季節ごとの作業 |
草刈り、庭木の手入れ、除雪をどうするか |
| 異常があったとき |
誰に連絡し、誰が修繕の判断をするか |
| 費用の負担 |
税金や管理費、修繕費をどう分担するか |
定期的な確認に加えて、大雪や強風の後なども、必要に応じて安全な範囲で状況を確認します。
遠方に住んでいて通うことが難しい場合は、外部へ管理を依頼する方法もあります。依頼する場合は、見回りの範囲、室内確認の有無、写真報告、除雪や緊急時対応が含まれるかを確認しましょう。
5.住んでいなくても、かかる費用を整理する
空き家になっても、維持するための支出は続きます。
固定資産税などの税金、火災保険、必要に応じた電気・水道の基本料金、草刈りや除雪、見回り、修繕などを、年間でどのくらい必要か整理してみましょう。
火災保険は、空き家になったことを保険会社や代理店に伝え、契約を継続できるか、補償内容や手続きに変更が必要かを確認します。
また、建物が残っていれば、土地の税負担の軽減が必ず続くわけではありません。適切に管理されず、「管理不全空家」や「特定空家」として市町村から勧告を受けると、住宅用地の特例の対象から外れます。
税金だけで残す・壊すを決めず、管理費や修繕費、今後の利用も含めて考えることが大切です。
6.大きな片付けや修繕、解体は、相談してから考える
室内に荷物が残っていると、「すべて片付けなければ相談できない」と思うかもしれません。
まずは、家の場所や状態、荷物の量が分かる段階で相談し、どこまで整理する必要があるか確認しましょう。
片付けを始める場合も、権利証や契約書、図面、修繕の記録などは、ほかの荷物と分けて保管してください。家族それぞれに思い入れのある品もあるため、処分する前に確認しておくと安心です。
売却や賃貸を考える場合、先に費用をかけてリフォームしても、その費用を売却価格や家賃で回収できるとは限りません。現状のまま売る場合と、手を入れる場合を比べてから判断しましょう。
解体も、費用だけでなく、解体後の土地の使い方や税金への影響を確認してから進めます。ただし、落下や倒壊などの危険がある場合は、安全確保を優先して専門業者や自治体へ相談してください。
7.「売る・貸す・残す」を、同じ条件で比べる
今後の使い方は、建物の状態や立地だけでなく、ご家族の予定や管理できる範囲によっても変わります。
空き家の使い方と、検討するときの確認事項
| 選択肢 |
考えておきたいこと |
| 売る |
売却の見込み、必要な費用、荷物や修繕の扱い、引渡しまでの管理 |
| 貸す |
賃貸需要、必要な修繕、貸した後の管理・修理、将来自分で使う予定 |
| 残す・自分たちで使う |
使用する時期、年間の維持費、見回りや除雪を続けられるか |
| 解体して土地を活用する |
解体費用、土地の利用条件、税金、解体後の管理 |
「貸せば家賃が入る」という面だけでなく、貸主としての管理や修繕の負担も含めて検討しましょう。将来、ご自身やご家族が住む予定がある場合は、貸す前にその予定を伝えることも大切です。
すぐに結論を出せない場合は、「いつまでにもう一度話し合うか」を決めておくと、方針が決まらないまま長期間経過することを防ぎやすくなります。
相談するときに、分かる範囲で伝えたいこと
- 物件の住所と、おおよその築年数
- いつから空き家になっているか
- 土地・建物の所有者と、相続手続きの状況
- 雨漏りや設備の故障など、分かっている不具合
- 室内に残っている荷物の量
- 売却・賃貸・保有についての希望や迷っていること
- ご家族が現地へ行ける頻度と、希望する時期
すべての資料がそろっていなくても、まずは分かることから整理してみましょう。
実家には、ご家族の暮らしや思い出が詰まっています。すぐに手放すかどうかを決める必要はありませんが、管理と必要な手続きは、今後の方針を考えている間も進めておくことが大切です。
帯広・十勝の実家や空き家について、売却・賃貸などの選択肢を知りたい方は、ちえんへご相談ください。
参考情報
制度情報の確認:2026年10月。登記や税金、保険の取り扱いは、個別の状況に応じて法務局・司法書士・自治体・税理士・保険会社などへご確認ください。設備の操作は、取扱説明書や専門業者の案内に従ってください。