住み替えや相続、暮らし方の変化など、家を売ろうと考えるきっかけはさまざまです。
「何から準備すればよいのか」「リフォームしてから相談した方がよいのか」「住宅ローンが残っていても売れるのか」。初めての売却では、分からないことも多いものです。
すべてを整えてから相談する必要はありません。まずは、手元の資料と分かっていることを整理し、売却の進め方を考えていきましょう。
1.売りたい理由と、希望する時期を整理する
最初に考えたいのは、「いくらで売りたいか」に加えて、「いつまでに、どのような条件で売りたいか」です。
- 住み替え先が決まっているか
- 売却代金を、次の住まいの購入費に使う予定があるか
- 住みながら売るか、引越し後に売るか
- 引渡しを希望する時期があるか
- 価格と売却時期のどちらを優先したいか
たとえば、住み替え先の購入が先になる場合と、今の家の売却が先になる場合では、資金や引越しの段取りが変わります。
ご家族で希望が異なる場合も、相談前に結論をそろえる必要はありません。決まっていることと、まだ迷っていることを分けて伝えると、進め方を相談しやすくなります。
2.土地・建物の名義と、住宅ローンの残りを確認する
売却を進める前に、土地と建物が誰の名義になっているかを確認しましょう。
ご夫婦などの共有名義になっている場合や、相続した家の名義変更が済んでいない場合は、必要な手続きも変わります。登記上の住所や氏名が現在と異なる場合も、相談時に伝えてください。
住宅ローンが残っている場合は、返済予定表や金融機関の案内などで、現在の残高を確認します。
住宅ローンが残っているだけで、売却できないと決まるわけではありません。
ただし、売却代金などで返済し、抵当権を抹消するための段取りが必要です。売却代金だけでは返済額や諸費用をまかなえない場合もあるため、早めに金融機関と不動産会社へ相談しましょう。
相続や共有などの事情がある場合も、査定の相談と並行して、司法書士などに必要な手続きを確認しておくと安心です。
3.手元にある資料を集める
資料があると、建物や土地の内容を確認しやすくなります。まずは、見つかるものからまとめておきましょう。
売却の相談に役立つ資料
| 資料 |
確認しやすくなること |
| 購入時の売買契約書・重要事項説明書 |
購入時の条件や、土地・建物に関する説明 |
| 登記識別情報通知・権利証など |
登記や売却手続きに関する準備 |
| 固定資産税の納税通知書・課税明細書 |
土地・建物の課税内容や税額 |
| 間取り図・設計図・建築確認関係の書類 |
建物の構造、間取り、建築時の情報 |
| 測量図・境界確認の書類 |
敷地の形や境界に関する情報 |
| リフォーム・修繕の契約書や領収書 |
工事の時期、内容、施工会社 |
| 設備の説明書・保証書 |
暖房・給湯などの機種や使用方法 |
| 住宅ローンの返済予定表など |
借入先や残高、返済の予定 |
これらは、相談時にすべてそろっていなければならない書類ではありません。見つからないものは、そのまま伝えてください。
また、購入時の契約書や領収書は、売却後の税金を計算する際にも重要です。建物の取得費は、購入代金をそのまま使うのではなく、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。古い資料も、不要と思って処分しないようにしましょう。
4.建物の不具合と、修繕した履歴を整理する
家の状態について、知っていることをメモにしておきましょう。
- 雨漏りや水漏れが起きたことがあるか
- 屋根・外壁・窓などを、いつ修繕したか
- 給湯器や暖房設備を、いつ交換したか
- 水道管の凍結や破損が起きたことがあるか
- 増築や間取りの変更を行ったことがあるか
- 現在、使えない設備や調子の悪い設備があるか
過去の不具合は、「いつ起きたか」「どのような修理をしたか」「その後の状況」を分けて整理すると伝えやすくなります。
分からないことを、無理に「問題なし」と判断する必要はありません。
相続した家などで詳しい経緯が分からない場合は、分かる範囲と不明な部分を区別して伝えましょう。
不具合があるからといって、必ず売却できなくなるわけではありません。修繕するか、現状を説明したうえで売るかなど、価格や契約条件とあわせて検討します。
建物の状態を専門家に確認してもらう方法として、建物状況調査(インスペクション)もあります。調査を行うかどうかは、目的・費用・時期・調査範囲を確認して相談しましょう。
建物診断・インスペクションのご案内 →
5.帯広・十勝では、冬の暮らしに関する情報も準備する
間取りや築年数だけでは分かりにくい、冬の住み心地も大切な情報です。
住んでいた方だからこそ分かることを、整理しておきましょう。
冬の暮らしについて伝えたい情報
| 項目 |
伝えたい情報 |
| 暖房・給湯 |
灯油・ガス・電気などの種類、設置場所、交換時期 |
| 窓・断熱 |
分かる範囲の仕様、窓の交換や断熱改修の履歴 |
| 冬の光熱費 |
過去の使用量・請求額と、そのときの居住人数や使い方 |
| 水道の凍結対策 |
水抜きの場所や方法、過去の凍結・修理の履歴 |
| 駐車場 |
普段使っていた台数、冬の出入りや除雪の状況 |
| 雪置き場・落雪 |
敷地内で雪を置いていた場所、屋根から雪が落ちる位置 |
光熱費の実績を伝える場合は、居住人数・在宅時間・暖房の使い方なども添えます。次に住む方も同じ金額になるとは限りません。
積雪のない時期の外観や庭、駐車場の写真があれば、冬の売却相談でも参考になります。敷地の様子が分かる写真は、残しておくとよいでしょう。
6.境界と、残す設備・片付ける物を確認する
土地の境界や、隣地との関係で分かっていることも伝えてください。
境界標の位置、塀やフェンスの経緯、隣地との取り決め、樹木や屋根などの越境について、資料や過去のやり取りがあれば整理しておきましょう。
塀やフェンスがあるからといって、その位置が必ず境界とは限りません。確認や測量が必要かどうかは、資料と現地の状況を見て相談します。
また、家と一緒に引き渡す設備と、引越し時に持ち出す物を分けて考えましょう。
- ストーブ・エアコン・照明器具
- 物置・カーポートなど
- 家具・家電・カーテン
- 庭の物や、使っていない道具
「残してもらえると思っていた」「撤去されると思っていた」という行き違いを避けるため、設備の状態とあわせて、引渡しの条件を整理することが大切です。
7.売却価格だけでなく、手元に残る金額を考える
売却代金のすべてが、そのまま手元に残るわけではありません。
物件や売却条件によって、次のような支出が考えられます。
- 仲介手数料
- 売買契約書の印紙代
- 抵当権抹消などの登記費用
- 住宅ローンの返済や、金融機関の手数料
- 必要に応じた測量・境界確認の費用
- 家財の処分、修繕、解体などの費用
- 引越し費用
- 売却によって利益が生じた場合の税金
すべての売却で、これらがすべて必要になるわけではありません。誰が負担するか、いつ支払うかも含めて確認しましょう。
資金計画上の「手元に残るお金」と、税金を計算する「譲渡所得」は別です。
住宅ローンを返済した後の残額で、そのまま税金が決まるわけではありません。譲渡所得は、売却収入から取得費と譲渡費用を差し引くなどして計算します。
税金の特例が使えるかどうかも、住んでいた状況や売却時期などによって変わります。住み替えや相続が関係する場合は、契約前の段階で税務署や税理士へ確認しておくと、資金計画を立てやすくなります。
8.大きな工事を始める前に、査定と売り方を相談する
売却前に、必ず全面リフォームをする必要はありません。
買主が自分の好みに合わせて改修する場合もあるため、先に費用をかけても、その分を売却価格に上乗せできるとは限りません。まずは現状を確認してもらい、必要な作業を相談しましょう。
片付けも、最初からすべて終わらせる必要はありません。査定の際に確認したい場所へ入れるようにするなど、できる範囲から準備します。
査定額は、売却できる価格を保証するものではありません。金額だけでなく、次の点も確認しましょう。
- どのような根拠で査定しているか
- 売出価格をどう設定するか
- 想定する販売期間と、見直しの進め方
- 売却前に必要な作業と費用
- 広告や内見をどのように進めるか
住みながら売却する場合は、内見に対応できる曜日や時間帯、写真に写したくない私物なども相談しておくと安心です。
売却相談の前に、まずはこの5つ
- 売りたい理由と、希望する引渡し時期
- 土地・建物の名義と、住宅ローンの有無
- 手元にある契約書・図面・税金の資料
- 分かっている不具合と修繕の履歴
- 希望価格や、売却について気になっていること
まだ売ると決めていない段階でも、価格の目安や必要な準備を知ることで、次の判断がしやすくなります。
帯広・十勝で家の売却をお考えの方は、ちえんへご相談ください。住み替えや相続などのご事情も伺いながら、進め方を一緒に整理します。
参考情報
制度情報の確認:2026年10月。登記や税金、住宅ローンの手続きは、個別の状況に応じて司法書士・税務署・税理士・金融機関などへご確認ください。必要な費用や引渡しの条件は、物件と契約内容によって異なります。